3月の風が 最近苦手。
花粉も黄砂もインフルウィルスも
みーんな運んでくる気がして。
昔は好きな季節だった。
ひとつの原風景みたいなのがある。
弥生三月、
妹のために毎年飾られる雛人形の前、
小学生の自分が寝こんでる記憶がある。
母親は勤めに出かけ、
自分一人が赤いひな壇の前に寝かされている。
五人囃子だの右大臣だのをじっと見つめてる。
彼らもまた私を見つめてる。
風がカタカタと障子を少し揺らすだけの
静寂。
華やかなひな壇。
非日常の世界がそこにだけあって
なのに小学生の自分は風邪で寝込んでごほごほいってる。
実は今日は寝こんでしまい、
欠勤した。
モンがときおり顔を舐めに来たものの
何十年前と同じ静寂の一日だった。